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2年で興行収入150%のミニシアター「UPLINK」。映画『がむしゃら』を観てその理由に納得。

2年で売り上げが1.5倍になったミニシアター
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UPLINK / アップリンク

ミニシアター (mini theater)とは、
日本の映画館のうち、ブロックブッキング
※決められた作品を前もって決められた期間上映すること
などによる大手映画会社の直接の影響下にない独立的なものを指す呼称である。
旧来の「単館系」を含む。
一般に、定員200人程度までの小さい映画館であることが「ミニ」という名称の由来である。
(Wikipediaより引用)

渋谷には、本件で取材した「アップリンク」の他、「シアター・イメージフォーラム」、「ル・シネマ」、「シネマライズ」など、8つのミニシアターが共存し、

ミニシアターの街”渋谷”

として世界からも知られているのだとか。

2年で売上が1.5倍というのは確かにすごい。

しかし、実は日本における映画興行収入も同じくらいの成長を遂げているのでは?

と思い、一般社団法人日本映画製作者連盟のホームページで調べてみたところ、

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(引用:一般社団法人日本映画製作者連盟ホームページデータを基に渋谷新聞でグラフ化)

ほぼ横ばい、少し元気

これは興味深い。

そもそも筆者、映画はシネコンでその時に割と話題なものを観るという、ごく普通と言える映画鑑賞ライフを送ってきたため、まずはミニシアターで映画を観るところから取材を開始した。

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いざ!小さな映画館へ!

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おや?映画館はいづこに?

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おしゃれなテラスのあるカフェ。おや?あれは?

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映画館が近い予感

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カフェの奥にありました。こちらが映画のチケット購入カウンター。

まず驚いたことは、

想像していた映画館よりもずっとオシャレな雰囲気であったこと。

映画館よりカフェが目立ち過ぎていること。

そして、

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年会費1300円で1年間映画が1000円。13000円で何度観ても無料!?
※作品やイベントにより料金は変わります。

年会費1300円って、2回観たら元が取れちゃう!

ということで、思わずレギュラー会員に。
また観にこよう(笑)

そして、今回鑑賞した映画は女子プロレスラー”安川惡斗”のドキュメンタリー

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(C) MAXAM Inc.

渋谷新聞メンバーが既にこの映画を観ており、とても良かったと。

かなり信頼できるメンバーからのオススメであったため期待が膨らむ。

いよいよ劇場内へ!

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なんてことでしょう!

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カラフルでかわいい!

座席数58席、スクリーン120インチというこじんまりとした空間ならではの温かい雰囲気。

シネコンのいわゆる整然とした座席とは大きく異なり、場所によりリラックスチェア

が配置され、席もゆったり。壁や座席の色使いがカラフルで、居心地の良さを感じる。

そして、いよいよ映画鑑賞。

こんな内容の映画『がむしゃら』

映画作品そのものの感想を少し。

今まで出会ったことの無いドキュメンタリー映画。

激しく胸をえぐられ、その空いた隙間に、彼女の人間らしいひたむきさや圧倒的な熱量が注ぎ込まれ、結果観ている側に真新しい癒しを与えてくれる作品。

比べようもない人生を送ってきた彼女の物語のどこかに、自分の原体験が少しリンクする感覚と、

今現在、何かに向かって頑張っている人には、さらなる力を与えてくれるような映画でした。

アップリンクでの残り少ない上映回数ですが、是非ご覧になってもらいたいです。

アップリンクHP/安川惡斗復活記念特別上映『がむしゃら』

さらに、ミニシアターならではの楽しみが上映後展開されました。

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『がむしゃら』を制作した高原監督、主演の安川惡斗さんらによるトークショー!

あ、右の方はドラマ『HERO』の警備員役でおなじみの俳優”勝矢”さん!

映画に関することだけでなく、安川惡斗さんが女子プロレスラーになる前の女優時代の話、

9月23日に怪我からの復帰戦を行う今の心境、トレーニングの様子など、映画ストーリーの

前後を知ることができる面白いトークショー。

観客が高原監督や安川惡斗さんに直接質問できる時間を設けてもらえたのですが、
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さすがミニシアター

マイク無しで会話ができる、贅沢な距離感

イベント終演後は、
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快く記念撮影も。

鑑賞じゃなく一度きりの体験。アップリンク売上1.5倍につながった魅力はこういう体験価値なのかもしれない!

担当者の方にお話を聞かせていただきました。
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桑原さんアップリンク番組編成のご担当

渋谷新聞
ずばり、2年で売上1.5倍の要因は何なんでしょうか?

桑原さん
これだっていう要因はなく、いくつかの要素があると思っています。
その中でも一番大きいのは、
お客様が出会える作品数が増えたこと
だと思います。

渋谷新聞
といいますと、上映回数を増やしたり、シアターを増設したりということですか?

桑原さん
トータルの上映枠は変わりませんし、施設に変更もございません。
上映作品のラインナップにドキュメンタリーから劇映画まで多様な作品を揃えて、限られた上映枠内に、より多くの作品をきめ細かく編成するようにしました。また、お客様が見逃した作品や、話題になった作品を多く上映することで、劇場に足を運んでもらい、さらに劇場で新しい作品と出会う機会が増えるように意識しています。

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渋谷新聞
なるほど!作品一つ一つの上映回数は減るかもしれませんが、その分お客様が出会える作品数は増えていく。そうすると、観たい作品を求めてより幅広い方々がこちらにやってきてくれる訳ですね。

桑原さん
はい。ミニシアターは席数が少ない分、ミニシアターらしいチャレンジができるのも要因です。
言ってしまえば、知名度や話題性はないけれど、
本当にいい作品だから1回だけでも上映してみよう、お客様に出会っていただこう。
そんなことも可能なんです。

渋谷新聞
1回だけでもってすごいですね。シネコンではなかなかできないチャレンジだと思います。
今回実際に映画を観て思いました。映画『がむしゃら』を観たというより出会ったという
感覚があります。
それと同時に、この作品の上映をアップリンクさんが選んだ。
だとしたら、他にもいい作品との出会いがここにあるかもしれないとも感じました。

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桑原さん
ありがとうございます。
私たちは自分たちが観て面白いと感じたものを、お客様がゆったりできるスペースと共に提供し、満足してもらうよう運営しています。ですから映画だけでなく、音楽ライブやワークショップ、落語、その他様々なイベントも積極的に行っております。きっかけは様々だと思いますが、何か引っかかって劇場に足を運んでもらえる編成を今後も心がけたいと思っております。

 
 

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シネコンにも、色んな作品との出会いはある。

けれどシネコンだけしかこの世の中に無かったら、文化の多様性という面白さが失われていく。
その意味で、あらゆる作品との出会いに恵まれたミニシアターの街”渋谷”はとても魅力的。

さらに、『がむしゃら』の高原監督にもお話を聞いた。
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渋谷新聞
ここアップリンクが売上を伸ばしている要因は何だとお考えですか?

高原監督
まず、売上が伸びているというのは意外ですね。実は地方のミニシアターは軒並み不況です。
だから全国的にはミニシアターの数も減っています。
ミニシアターは、割とコアな作品を上映してくれるという魅力があります。
ですからコアな作品を観られる場所が減る一方、そうした作品を求める人々は変わらず
居るため、残されたミニシアターにファンが集まっているという可能性は考えられますね。

渋谷新聞
そうなんですね。
その視点はとても面白いです。
大手シネコンでは上映されない作品やコアな作品って世の中には多いんですか?

高原監督
日本において、邦画だけでも昨年約550本の新作映画が公開されています。
洋画は約400本かな。
だからミニシアターだけの上映作品はかなりありますよ。

渋谷新聞
そんなにもですか!
そんなに多いと、何を上映するかミニシアターごとに個性が出せそうですね。

高原監督
ミニシアターには小屋付き(劇場そのもの)のファンが多いのも特徴で、ここはドキュメンタリー
が多いとか、そういった劇場ごとの番組編成のカラーが出ます。
ちなみに、ミニシアター館長とシネコン館長の大きな違いは何かわかりますか?

渋谷新聞
いえ、何でしょうか?

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ミニシアター館長は作品を観る、シネコン館長は作品を観ない

高原監督
どっちがいい悪いという話ではないです。
シネコンには話題性が高く著名俳優が出演する面白い作品が集まり、
ミニシアターにはその劇場の館長や編成者が実際に面白いと感じた
作品が集まるという違いです。

渋谷新聞
つまり、小屋付きのファンは上映作品のセレクトセンスにも価値を感じて
いるということですね。信頼できるというか。

高原監督
そうです。
誰もがメジャー作品だけを好んでいるわけではなく、サブカル好きや
作家性や芸術性に面白さを感じる人もいますから。

結局お客さんは自分にとって面白い作品との出会いを求めています。面白いものに出会うためには足を運ぶ。
そういうことだと思います。

渋谷新聞
だから、そういった人々にとってはこうしたミニシアターは無くては
ならない場所になるということですね。

 
 

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2年間で売り上げが約1.5倍。
キーワードは「作品との出会い」

そこでしか出会えない、そこでしか体験できない、となれば人は動く。

それがシンプルな答えでした。

ふと近所のお兄ちゃんを思い出した。

遊びに行くと面白いマンガやゲームを次々と紹介してくれる。

それが楽しくて楽しくて、そこに行けば面白いから毎日のように

足を運んでいた懐かしい記憶。

ミニシアターは、そんなお兄ちゃん家みたいな居心地の良さと、

楽しい出会いを提供してくれる場所のように感じた。

それともう一つ。

ミニシアターの密でコアな感じは、映画作品を中心とした会話がうまれ

やすく、お互いの価値観を確かめあえそうなので、

デートに最適かも。

 
これも人気の秘密かもしれない。
 
 
 

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<作品情報>
安川惡斗復活記念特別上映『がむしゃら』
2015/9/15(火)19:30、9/21(月・祝)15:10、9/29(火)19:30
【全ての回上映後トークショーあり】
http://www.uplink.co.jp/movie/2015/39247

<店舗情報>
UPLINK / アップリンク
Place:東京都渋谷区 宇田川町37−18
Tel: 03-6825-5503 ※上映・イベントについてのお問い合わせ
HP:http://www.uplink.co.jp/

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