渋谷新聞は東京・渋谷の粋な情報を発信するWEBマガジンです。

粋で大人な、うなぎ屋の楽しみ方。渋谷「花菱」。

渋谷といえば、若者の街。

 

 

チェーン店やファーストフード店が軒を連ね、猛スピードで時間が流れるメトロポリス。

それゆえ、渋谷で大人な時間をゆったりと過ごしたいと思ったとき、困ることもしばしば。

 
 

粋で贅沢な時間を渋谷で過ごしたい。

 

できれば、落ち着いた居酒屋やバーではない、老舗の雰囲気が渋谷で味わえるとなおさら良い。

 

粋で贅沢といえば、庶民の贅沢うなぎ

 
 

今回、渋谷の老舗うなぎ屋「花菱」さんにて「粋で大人な鰻屋の楽しみ方」を勉強してきました!

 
 

ありました。渋谷駅から徒歩約3~4分、道玄坂を登って中腹右手。

花菱さん

 
 
 

店主阿部さんにお話しをお伺いしました。


 
渋谷新聞

本日はよろしくお願いします。

こちら花菱さん、いつから渋谷で商売されているんですか?

 
 

阿部さん

うちは創業90年で、ずっと渋谷でお世話になってるんですよ。

 
 

渋谷新聞

約1世紀にわたり、渋谷の粋な人々の胃袋を幸せにしてきたということですね。

本日は、渋谷の若い方々にもおすすめしたい「粋で大人な鰻屋の楽しみ方」を教えてもらいたいです!

といいますのも、鰻はやはり贅沢なもので、今日は鰻を食べるぞ!と少し気合いが入ると思うんです。けれど、注文してから焼きあがるまで時間もかかるので、その間スマホをいじっていたりすると気合いが薄れていくというか、、、粋じゃないんです!

 

阿部さん

なるほど(笑)、承知しました。

基本的に、楽しみ方は人ぞれぞれ自由でいいんですが、過ごされる時間をよりよくするために、オススメしていることがあります。

 
 

渋谷新聞

それはなんですか?

 
 

阿部さん

予約注文です。

 

当店では、活鰻の場合、御注文を受けてから約1時間、裂いてくし打ちの仕込みまで終わっている場合で、約30~40分程お待ち頂いております。

 

予約時に、時間と人数に加えてメニューの内容や、配膳のタイミング等を事前にお知らせ頂ければ、お待たせする時間は少なくてすみます。

 
 

渋谷新聞

なるほど、お店に着いてしばらくすると料理が運ばれてくる。

これは粋で大人ですね。

デートでも会社関係の商談でも、こういうスマートさはとっても喜ばれるはず。

 
 
 

といった会話を交わしていると、事前にお願いしていた「うなぎずくしコース」(7000円)がはじまりました。

 
 
 

コース一品目 「白焼き」


わさびを載せて食すもよし。醤油を少しつけて食すもよし。

うなぎのふわふわな食感と風味をまず楽しみましょう!


ホロッ、トロッ

渋谷新聞
ビールが飲みたくなってきました。

 
 

阿部さん
そうですね、お出しいたしましょうか?

 
 

渋谷新聞
いえ、取材中なので我慢します(笑)

 
 

コース二品目「うざく」


うなぎのかば焼きを、酢の物と和えた逸品。しっかり焼いているのが特徴らしく、

酢で和えているにかかわらず、うなぎの皮がパリッとしています。

 
 

渋谷新聞

緩急巧みな攻め手です。

こちらは日本酒が合いそうですね。

 
 

阿部さん

ご存知でしたか?実は、鰻と樽酒は、ワインで言うところのマリアージュの関係なんですよ。

樽酒は通常の日本酒と比べて口中の脂分を洗い流しやすく、脂の多い料理でもさっぱりと食べられる効果、さらに魚介類由来の旨味をふくらませ、料理を引き立てる効果があることが、ある大手酒造メーカーの研究で明らかになったんですよ。

 
 

渋谷新聞

マリアージュ!(フランス語で結婚の意味。食べ物の最良の組み合わせを表すコトバ。)
大人で粋な鰻屋の楽しみ方にもってこいですね!
これは、取材すべきメニューだと思います。樽酒お願いします!

 
 

阿部さん

本当によろしいんですね?かしこまりました。


おお、吉野杉の樽の中で、活きのいい鰻が躍るような感覚。

 

渋谷新聞
樽酒を飲みながら、鰻をいただく。

これです、まさにこんな時間の過ごし方がしたかったんです!

 
 

コース三品目「うまき」


うなぎの蒲焼を、ふわふわの出し巻き卵でローリングした一品。


フワッ、ジュワッ

渋谷新聞
これは、たまりませんね。これだけでも大量に食べたいです。

 
 

阿部さん
この”うまき”、実は中国人観光客の方にもとても人気なんです。
どこで紹介されているのか分からないんですが、多くのお客様がスマホでこの店の”うまき”の写真を見せてくるんですね、そして「これをください」といって注文されるんです。

 
 

渋谷新聞
面白いですね。どこかの誰かが感動してSNSに投稿して、また違う誰かが食べに来て写真を撮る。
いつの間にか中華全土に「渋谷 花菱 鰻巻(うまき)」というキーワードが広がっているのかもしれませんね。
訪日観光客の方々で予約してからこられる方はほとんどいないと思いますが、注文してから約30分待つことに関して抵抗はなさそうですか?

 
 

阿部さん
色んな方がいらっしゃいます。中にはお待ちいただいている間、テーブルにお土産のお菓子なんかを広げて、焼きあがる頃にはお腹いっぱいという方々も。これは文化の違いかもしれませんね。

 
 

渋谷新聞
阿部さんの人柄でしょうか、それとも多様性の街渋谷で約1世紀商売をされてこられたからでしょうか、お話を聞いていますと、とても寛容といいますか、居心地の良さを感じてきます。

 

こちらの写真は、現在のビルに建て替えられる前の花菱さん。

2階建ての木造建てで、お座敷がメインだったようです。

こちら現在のお座敷席。当時のテーブルや掛け軸などが今も店内で使われています。

こうした装飾品を愛でながら、悠久の時を思う。これも粋な楽しみ方ですね。

 

阿部さん
実はこのお店、戦時中に一度焼かれてしまったんですね。
渋谷道玄坂あたりは、ほとんど残らず焼け野原になっていたようですから。
鰻のタレだけは、私の祖父であります先々代の店主と共に疎開していたため今でも受け継がれています。

 
 

渋谷新聞
戦火をくぐり抜け、創業以来90年継ぎ足しで守られている味なんですね!
大正時代からここに通われていた渋谷の先輩たちと同じ味をいただいている。
粋を通り越して、ロマンすら感じます。

 

阿部さん
はい。かつて常連さんで歌人の斉藤茂吉さんが花菱にいらしていたようです。
日によっては一日に二度も鰻を食べに。

 
 

斉藤茂吉!!

 

日本の歌人、精神科医である。大正から昭和前期にかけてのアララギ派の中心人物。(Wikipediaより参照)

 
 

渋谷新聞
え!あの教科書に載っていた斉藤茂吉さんですか?

 
 

阿部さん
はい、斉藤茂吉さんは、大のうなぎ好きだったようです。

 
 

後日調べてみたところ、齋藤茂吉さんはこんな和歌を詠んでいました。
 
 
これまでに吾に食はれし鰻らは仏となりてかがよふらむか (『小園』「折に触れつつ」昭和19年)

 
 
「これまでに私に食された鰻たちは、仏となって耀くだろう」
といった感じの現代語訳でしょうか。

 
 

「鰻が好きすぎて、それもとても美味しく調理され、さらに感謝の意を込めて私は食べているから、食べられた鰻は見事に成仏し喜んでいるだろうよ。」


こんな解釈でしょうか。
※あくまで渋谷新聞の現代語訳と解釈ですので間違っておりましたらお許しください。

 
 

教科書でしか知りませんでしたが、斉藤茂吉さんは渋谷と鰻を愛する先輩だったんですね。

 
 

渋谷新聞も一句浮かびそうになっていることろに、

ついにメインの一品「うまぶし」


茂吉先輩!

既にかがよふらむ!です!

まずは薬味と共にいただきます

お出汁をかけていただきます

 

 

ごちそうさまでした。

 

 

花菱さんの「うなぎずくしコース」大満足。
ボリューム感も満足です。

 
 

こちらのコース2人でシェアすることも可能とのこと。

 
 

ここ渋谷のど真ん中、道玄坂”花菱”で、「粋で大人なうなぎ屋の楽しみ方」が堪能できました。
まとめますと、

 

其の一、予約注文すべし。

 

其の二、うなぎづくしコースを頼むべし

 

其の三、樽酒とのマリアージュを嗜むべし

 

其の四、店内の粋な空気を味わうべし

 

 
 

是非皆さん、渋谷”花菱”で大人で粋な時間を楽しんでみてください。


阿部さん、ありがとうございました!

 

———————-
花菱
東京都渋谷区道玄坂2-16-7
03-3461-2622
ランチ 月曜日~土曜日 11:30~ ※14:30ラストオーダー
ディナー月曜日~土曜日 17:00~ ※21:30ラストオーダー
定休日 日祝日

Share (facebook)