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渋谷区とレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー

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LGBT

LGBT(エル・ジー・ビー・ティー)とは、
“女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、そして性同一性障害含む性別越境者など(トランスジェンダー、Transgender)の人々を意味する頭字語である。”
(Wikipediaより引用)

渋谷区は2015年4月1日、日本初となる

同性カップルに対し、結婚に準じる関係と認め「パートナーシップ証明」を発行する条例

を施行した。

このニュースは大きな注目を集め、人々がLGBTについて知るきっかけと、

世田谷区や宝塚市などに広がりを見せるきっかけともなった。

ところでみなさん、

渋谷区が発行する「パートナーシップ証明書」、法的拘束力はないことをご存知でしょうか?

「結婚に準じる関係」であるため、婚姻や税金の配偶者控除など法的な

結婚関係や恩恵は得られないとのこと。

ただし渋谷区の家族向け区営住宅には入居できるといった恩恵はあるよう。

なんだろう?このモヤモヤは?

そんな疑問を持っていたところ、渋谷区長がLGBTをテーマに、元オランダ

国会議員でもあり世界的なLGBT運動を代表する人物のひとりである、

ボリス・ディトリッヒ氏と対談するということで取材へ。

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場所は、もうすぐ取り壊される旧渋谷区役所。

しかも、条例が可決された議場での対談。

結論から言うと、約60分に渡る対談の中でさきほどのモヤモヤが

晴れていくのと同時に、本質的な課題は長期間かけて社会に定着

させていくことの必要性を感じました。

渋谷区長
「渋谷区議員時代にパートナーシップ証明の条例化を進めようと思った

きっかけは、LGBTの友人がいたからです。

彼らは性的マイノリティであるということで不条理や不合理に悩ま

されていました。

何か自分が生まれ育った渋谷区だけでも、できることはないか研究

しました。そこで、海外におけるパートナーシップ証明を知り、

渋谷区での実現を働きかけました。

ところが、やはり法的拘束力がないことが気になっていました。

そこで、LGBTの友人に

「法的拘束力はない紙切れだけれど、あると嬉しい?」

と聞いたところ、

友人は「とても嬉しい!」と。

その言葉を原動力に、3年かけてこの条例施行に向けて動きました。

やはり、周囲からの誹謗中傷はすごかった(笑)

けれど、当時の区長が賛同してくれたこともあり、周りの方々が

LGBTに対して考えるようになりました。

LGBTの方々が抱える不条理な課題は、結局現状を知られていない

ことが問題の根なんだと思います。

渋谷区がパートナーシップ証明書を発行したらしいけど、法的拘束力のない紙切れらしいよ、なんでそんなもの作ったんだろうね?

この「なんで?」を人々が考えるきっかけ、そして興味を持ってLGBT

について知るきっかけになって欲しかったんです。」

知りたい、渋谷新聞も現状を知りたい。

この知りたいに対して、ボリス氏が世界のLGBTを取り巻く環境について

お話をしてくれました。

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ボリス氏
「国連に加盟している193か国の内、76か国では同性愛行為が犯罪です。

ここでカメルーンの事例をお話いたします。

哲学を学ぶ若いカメルーン人学生ロジャーさんは、ある男性に恋をし、

「大好きだよ」というメールを送ったところ、これを知った警察に

逮捕され、3年の刑を宣告されました。

担当弁護士は異性愛者でしたが、「なぜわざわざ同性愛男性を弁護

するのだ」と脅迫されました。その脅迫の手は弁護士の妻子にも

及びましたが、警察は脅迫者である犯人を捜そうともしませんでした。

妻子は母国を離れざるをえず、現在はアメリカに。

カメルーンではメールで殺人のメッセージを送っても無罪放免である

一方、愛のメッセージは3年の刑になることがあるのです。」

日本においては、このような事態は起こりえないと思うものの、

ゲイカップルが性的志向や性自認を理由に家を借りられなかったり、

仕事を首になったりする可能性はありえるとのこと。

ボリス氏は、今の渋谷区から始まった日本の流れは、20年前の

母国オランダを思い出すと語り始めた。

ボリス氏
「私が1994年に国会議員になる前、複数の自治体が同性カップル

に対し婚姻証明書を発行しはじめました。祝福の催しも行って

いました。

証明書に法的拘束力はなかったものの、オランダの世論は愛し合う

男性カップルも女性カップルも、男女のカップルと同じ権利を持って

当然という考え方になじむようになりました。

こうした自治体の象徴的な動きは、私がオランダ民法を改正し、

同性カップル婚姻を認める法改正を訴えた際に追い風となりました。」

国の法律が変わったことで、オランダではアーティストや大臣、科学者

や金メダリストが堂々とLGBTであることを公言しメディアに登場する

ようになったそう。

ボリス氏は最後にこう言った。

LGBTを代表するロールモデルが必要だ

ロールモデルとは、人々から尊敬と信頼を集めるLGBTを公言する人々。

現在、日本のテレビでは”オネエ系”といった呼び名で活躍するタレント

が多く、そんな彼らの面白く、オシャレで、クリエイティブな一面が

日本におけるLGBTに対する馴染みを作っていることも事実であるが、

やはりまだまだ特別であり、彼らの直面している不条理や不合理を取り

除いていくためには、もっと知り、考えることが必要なのだと思う。

渋谷区が発行した法的拘束力のない紙切れは、民間が活用をはじめている

らしい。

例えば、生命保険の受取人としてパートナーシップ証明書があれば、

2親等以内の条件をクリアできるという保険会社も現れたとのこと。

この先こういう(いい意味で)面白い取組が増えていくことは、

きっと素敵で面白い日本につながるのだと感じた。

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取り壊し直前の旧渋谷区役所で面白い話が聞けた。

日本のLGBT問題の歴史の1ページを作った議場もほどなく

取り壊される。

LGBTとは関係ないが、10月25日~11月3日まで、旧渋谷区役所内で

国内外の多様なクリエーターによるアート展示やワークショップが

行われているとのこと。入場は無料。

何かを考え、知るきっかけを探しに、旧渋谷区役所に足を運んで

みてはいかがでしょうか?

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<イベント情報>
シブヤのタマゴ さよなら区庁舎
期間:2015年10月25日(日)~11月3日(火)
http://www.shibuyaeggs.com/

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