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渋谷が1位から5位に転落! 訪日ゲスト人気No.1の街奪還のためには?

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「国別外国人旅行者行動特性調査」

この調査は東京都産業労働局が毎年発表しているもの。

どこの国から、どのくらいの数、どんな過ごし方をしたのか空港で調査したものです。

その中に、

”東京を訪れた訪日外国人が都内のどのエリアに行ったか”

そんなランキングも発表されています。

3年前(平成24年度版)に発表されたランキングはこちら、

1位 渋谷
2位 新宿
3位 銀座

かつては、渋谷が都内訪問先ランキング1位!

しかし、それは過ぎ去った栄光・・・

今年の9月に発表された平成27年度版のランキングでは、

1位 新宿・大久保
2位 浅草
3位 銀座

あれ?

渋谷がいない。

4位秋葉原

5位渋谷

5位じゃだめなんですか?

というご意見もあろうかとは思いますが、
我々渋谷新聞としては、なんとかまた渋谷に1位に返り咲いてもらいたいというシティープライドがあります。

なぜ渋谷の人気が下がったのか。

その理由を知るためには、訪日外国人が魅力に感じている渋谷ならではの強みを知らなくては。

その強みを発信していけば、また1位の表彰台に戻れることを信じて。

進む日常体験への流れ

そこで我々は、日頃から渋谷で訪日外国人の方々と接している企業や団体の方々から、彼らが渋谷で実際に何をしているかを聞き出し、リアルな渋谷の強みを探ることにしました。

訪日外国人の多くは観光目的。

渋谷でインバウンド観光ビジネスを行っている会社といえばここ、

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H.I.S 渋谷本店。

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H.I.S渋谷本店は、2015年にリニューアルオープンした「渋谷MODI」のB1Fに店舗を構え、海外・国内旅行専門店に加え、

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訪日外国人向け専用の「TOURIST INFORMATION CENTER」を構える、特徴ある店舗。

日々多くの訪日観光客が、現地ツアーの相談や手荷物預かりを目的としてここを訪れている。

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外国人カウンター担当でマレーシア人のTANさんにお話を伺いました。

渋谷新聞
「ズバリ、渋谷で外国人に人気のスポットはどこですか?」

TANさん
「体験型のスポットをよく聞かれますね。日本人の間でも流行っていますが、アニマルカフェなどです。」

渋谷新聞
「アニマルカフェって猫カフェとか?」

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TANさん
「フクロウカフェ、蛇カフェ、うさぎカフェ、一番新しいのだとハリネズミカフェがありますね。渋谷だったら猫カフェがあります。」

その日、渋谷の猫カフェに実際に足を運んでみると、
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なんと!お客さんの半分以上が外国人!

しかし、猫カフェなら渋谷以外に新宿、浅草、吉祥寺など、今やどこにでもあります。

TANさん
「ありふれた猫カフェよりも最近は原宿にあるフクロウや蛇、うさぎカフェの方が人気が高いですし、紹介することも多いです。他に渋谷ならではといった人気スポットは特に無いですね。」

現に、ほとんど原宿のアニマルカフェに人が流れており、渋谷で何か体験を楽しむ方々は少ないとのこと。

「体験」や「ありふれていない」といったキーワードがヒントになるのかもしれません。

渋谷でしかできない、新たな体験。

H.I.S.さん曰く、渋谷はそうした体験がスクランブル交差点を眺めること以外に乏しく、またショッピングも他の街に比べ弱いところが課題とのこと。

次に観光だけでなく、観光以外の目的で日本への中長期滞在をしている外国人の動向を調べることに。

ある程度長く日本にいるからこそ、渋谷のディープな人気スポットを発掘している可能性が高い。

次の取材先は渋谷駅から徒歩5分、訪日外国人向けの日本語学校。

短期だと1週間、多くの方々は数ヶ月、日本語を学ぶために世界中から学生達が集まっているという、
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EF(Education First)東京校。

現在、世界50カ国以上に500の事業所(学校を含む)を構え、日本から海外の学校へも生徒を送っている。

東京2020オフィシャルパートナー(語学トレーニング)でもあり、実践的な語学学習が特徴なことと、

教育研修や文化交流などにも力を入れているため、世界的に人気の学校です。

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取材時には30カ国以上もの国々からの留学生が日本語を学んでいました。

流行に敏感な若者のみぞ知る、渋谷の人気スポット情報が手に入る気がします!

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そこでEFの平尾さんにお話を伺いました。

渋谷新聞
「様々な国から訪日留学生が来られていますが、ズバリ!渋谷の人気スポットってどこですか?」

平尾さん
「んー、渋谷で、ですか。

あ、きんくらですね!」

渋谷新聞
「きんくら?それはどんなスポットですか?」

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平尾さん
「宮益坂下にある居酒屋“金の蔵”ですよ。」

渋谷新聞
「あの居酒屋チェーンの?何か訪日外国人向けの特別なサービスがあるんでしょうか?」

平尾さん
「いえ、何も。彼らは居酒屋に行って飲み放題とか、あとファミレスでドリンクバーを利用するとか。

やっぱり海外にはない日本の充実したサービスがあるので、そこに興味を持って体験したいっていう声はよく聞きますね。」

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他にも日本のローカルフードであるお好み焼きやたこ焼きも人気らしい。

渋谷新聞
「そんなところを見ると私たち大学生と同じですね。」

平尾さん
「日本の学生とあんまり変わらないんですよ。

例えばよく学生達に聞かれる質問としては

“松屋って渋谷のどこにありますか?”

ですから。

よくよく聞いてみると松屋は、Japanese Fast Food Restaurantとガイドブックに載っていると。

松屋への行き方教えてって言われても、どこにあるっけ?って」

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渋谷新聞
「たしかに(笑)」

平尾さん
「普段あまり意識してないですよね、牛丼屋の場所とか。そういうとこ聞いてくるのかっていう

逆のカルチャーショックはありますね。

私たちにとってはどこにでもあるようなチェーン店や飲み放題のようなサービスでも、外国人にとっては目新しく、物珍しく映るようです。

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需要が高いため校内に掲示されていた、近隣ファストフードマップ。

たしかに筆者が外国に行った時も目に映るすべてのものが特別に感じられて、観光客向けではないスーパーにお買い物に行くだけで発見がたくさんあり、思い出になった記憶があります。

しかし、こういったチェーン店や日本的な飲み放題サービスはどこにでもある。

渋谷にしかない強みとはいえない。

「日本人の日常」というキーワードが何かヒントになるのかもしれませんが。

最後のヒントは、日本に旅行に来ている外国人と、外国人と話をしたい日本人をマッチングする活動をしている

JTG(Japan Tour Guide)

に取材をさせていただく中で見えてきました。

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JTGは、「Do you need help?」という看板を手に持ち、毎週土日にスクランブル交差点近くに立って数多くの外国人の手助けを行っている団体。

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JTG代表の大森さん。

渋谷新聞
「ズバリ!渋谷で外国人に人気のスポットはどこですか?」

大森さん
「特にこの店が人気といったスポットは無いですね。

よく聞かれる“行き方教えてTOP3”なら、

東急ハンズ、原宿、ハチ公の3つです。」

渋谷新聞
「ハチ公って目の前にあるのに聞かれるんですか?」

大森さん
「はい(笑)意外に目立たないみたいですね。」

渋谷新聞
「東急ハンズはお土産目当てだとして、原宿って、山手線を案内するんですか?」

大森さん
「いえ、みなさん渋谷から歩いて原宿に行きたいと言われるので、徒歩ルートを教えますね。」

渋谷新聞
「一駅分歩くってことですか?」

大森さん
「外国人観光客って歩きたがるんですよ。街を歩くのが楽しいから。」

渋谷新聞
「たしかに、自分の国にいる時は忘れがちですけど、海外旅行の時の街歩きってとても魅力的ですね。」

大森さん
「昔は旅行って言ったらちゃんと観光地に行ってというイメージがあったんですけど、

今は異国の街を歩きながら、自分で面白そうなものを見つける。

世界的な流れでそうなっていると思います。」

なるほど!

「街を歩く」これは大きなヒントです。

冒頭で紹介した「国別外国人旅行者行動特性調査」には

“訪問して一番満足した場所で行った活動”

という調査(平成26年度版)があり、

1位:日本食を楽しむ
2位:ショッピング
3位:街歩き

という結果が。
さらに、エリアごとの数値も出ており、街歩きの満足度は

新宿・大久保:21%
銀座:19.1%

これに対し、

渋谷:31%

渋谷での街歩きは、他エリアに比べかなり高い満足度。

H.I.S.で得た「体験」「ありふれていない」。

EFで得た「日本人の日常」

JTGから得た「街歩き」

一つにつながる気がする。

JTG大森さんが教えてくれた訪日ゲストによく聞かれる”原宿への歩き方”

渋谷~原宿間を歩いてみよう。

渋谷~原宿間の道そのものが観光資源

みなさんは最近渋谷~原宿間を歩いてみたことはありますか?

渋谷をスタート地点として、外国人の方たちの街歩きという冒険は始まります。

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ここが原宿への分かれ道。

今回は右側、キャットストリートへ。

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途中にこんな標識を発見!

よく見るとどんなショップがどれくらいの距離にあるのか示しているようです。

広告だけどオシャレな印象。

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キャットストリートと呼ばれるこの道にはたくさんのお店があります。

ブランドのおしゃれな専門店も多く、ふと足を止めてお店をのぞく観光客もしばしば。

ブランドショップだけでなく、
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路上でたこ焼きをほおばる訪日観光客。

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行列ができているレストラン。

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原宿に近づくに連れてPOPなお店が増えていく。

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あちら、

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こちらに街歩きを楽しむ訪日観光客が。

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約10分強で原宿に到着!

実際に街歩きをしてみて感じたことは2つ。

1つ目は西洋系の訪日観光客が多いということ。

これは先述の調査にも現れているのですが、

ショッピングを求めるアジア諸国は新宿や銀座を、

街歩きを求める西欧諸国は訪問先として渋谷を選んでいます。

例えば、

アメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストラリア、フィリピン。

こちらの国々は最新調査において、渋谷が訪問先ランキング1位となっています。

一方中国・台湾の方々が選ぶ訪問先において渋谷は8位。

訪日観光客に占めるアジア諸国の方々の割合が圧倒的に高いため、家電や免税ショッピングに弱い渋谷は、訪問先ランキングで上位に入ることが難しいのだともいえます。

2つ目に感じたことは、

「渋谷~原宿間は歩くだけで楽しい。」

一駅分歩くのは大変そう…という予想に反し、POPでかわいいお店や、奇妙な雑貨店など見慣れないお店を眺めつつの散歩は、疲れない。

そこはファッションや音楽の街渋谷から、かわいいカルチャーの原宿までを結ぶ文化の道。

観光地ではなく、日本の若者が普通に楽しむストリートには「日本人の日常」があり、たこ焼き屋や雑貨店など、訪日外国人からみたら「ありふれていない」「体験」を味わえる。

このローカルな街並みは、渋谷と原宿を結ぶこのキャットストリートにしかないものだ。

名付けてTOKYO POP ROAD!

渋谷から歩いて行ける範囲にあるのは、「かわいい」POPカルチャーが体験できる原宿だけではなく、

恵比寿や代官山といったおしゃれスポットにも程よい距離で行くことができます。

街歩きの中で、気になるお店やスポットを自分で発見する。

そして日本の現代文化を感じる。

私たちは渋谷と聞くと、ハチ公やスクランブル交差点といった、渋谷駅周辺のみをイメージしてしまいますが、

私たち自身で渋谷を狭く見てしまっている気がします。

単なる街歩きではなく、音楽、ファッションをはじめとするポップカルチャーをほかの街にはない文化として生かし、

渋谷と原宿、渋谷と恵比寿といった広域渋谷区の街歩きを強みとすれば、訪問先ランキング1位の奪還が叶うかもしれません!

また、地方において我が国には観光資源が少ないと言われていますが、

地方も含めたほかの街でも、日本人の日常という視点で街歩きコンテンツを意識することで、

今後日本のインバウンド、観光業のさらなる発展につなげることができるのではないでしょうか。

爆買いの終焉などと言われ始めている今、改めて観光資源とは何か、文化体験とは何かを考えるタイミングなのかもしれません。

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(記者:関根彩乃 / 上智大学文学部新聞学科)
(取材:上智大学×渋谷新聞連携講座「異文化の視点とジャーナリズム」受講生:玉木、吉本、関根、北澤、入江、田中、永尾)

<取材協力>
H.I.S.
http://www.his-j.com/branch/shibuya/

EF
http://www.efjapan.co.jp/

Japan Tour Guide
https://tourguide.jp/

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