渋谷新聞は東京・渋谷の粋な情報を発信するWEBマガジンです。

DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA 初日レポート

記・写真: 宮本夏樹

 

多くの人を捉えて放さないシブヤの文化の源は人間の個性だ。
その人間の多様な個性を受け入れられるふところの深さが渋谷の街の魅力ということを思えば、ダイバーシティの考え方が脈々と流れ続けている希有な環境と言えるだろう。

DDSS 2017

「ちがいをちからに変える街。渋谷区」

2016年10月にそんなスローガンを持つ渋谷区基本構想が掲げられた。

20年後を見据えた渋谷区の基本構想は、渋谷区をかたちづくる人々の多様性が生み出す化学変化によって生まれる力を信じ、共に未来へと歩んでいこうとする意思が秘められている。

人種、ジェンダー、働き方など、角度によって様々な意味合いを持つ「多様性」。それをきれい事で済ませないためには、人々の意識を少しずつでも変えていかなければならない。そのために掲げる旗となるサミット「DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA」(DDSS)が2017年11月7日から開催されている。

 

中でも11月13日(月)から15日(水)までの三日間は、様々なカンファレンスが原宿は明治神宮内にある明治神宮会館にて行われ、東京都知事の小池百合子氏をはじめ、さまざまな業界のトップランナーによるパネルトークやセッションが実施されている。

初日は「多様化する働き方と価値観」がテーマ。

働き方改革が声高に叫ばれる今だからこそ聞いておきたい、新しい時代の働き方、考え方が語られた。

本稿では小池百合子氏と、グーグルの岩村水樹氏による二つの基調講演と、長谷部健渋谷区長と東京大学まちづくり研究室小泉秀樹教授、モデレーターBusiness Insider Japan 統括編集長 浜田敬子氏によるテーマセッションを速報としてお伝えしたい。

小池百合子東京都知事による基調講演 『新しい東京、新しい日本。多様性と個性を力にする時代。』

DDSSの発起人の一人である別所哲也さんによる開会宣言の後、二つ用意された基調講演を努めるのは小池百合子東京都知事。

渋谷区の取り組みも東京都とともに取り組んでいかねば解決困難なものが多いなか、行政としてダイバーシティの取り組みへの在り方や、都としての取り組みが紹介された。

東京都が示す2020年に向けた「新しい東京」の実行プランでは、

3つのシティ」を実現して「新しい東京」をつくるというコンセプトのもと、安心安全なセーフシティ、持続可能な都市のスマートシティ、そして多様性のダイバーシティと、3つのシティをキーワードにした施策を行っていくとのこと。

小池都知事 3つのシティ

小池都知事 3つのシティ

中でも本基調講演において重要となる働き方改革についての施策。

様々なライフスタイルに対応するためにテレワークの導入を企業に推進する「TOKYOテレワーク推進センター」についての紹介や、通勤における満員電車解消のための時差Bizなどの取り組みが披露された。

また、都知事自身も苦労されている女性の活躍推進についての取り組み。世界経済フォーラムによる「ジェンダー・ギャップ指数」に触れ、「多くの国は女性を活かすことが活性化につながるという覚悟があるが、日本は覚悟が少ない」、「仕事か育児かの二者択一である」という現状について、女性が輝ける社会に向けて意識改革が必要であると訴えた。

育児についても、社会問題となっている待機児童対策について、保育所の整備も都内の地価が高く、保育所を設立するうえで高いハードルになっている現状認識から、国家戦略特区制度を利用し都立公園内に保育所をつくるようにする取り組みが進んでいることを表明した。

 

グーグルの岩村水樹氏による基調講演 『ワークスマート/テクノロジーがもたらす可能性』

小池知事による行政側の取り組みの後は、民間での取り組みについてグーグルの専務執行役員CMO兼アジア太平洋地域マネージングディレクター、岩村水樹氏によるGoogleにおける働き方改革について。

「24時間戦えますか」の時代からwork smartの時代になったと岩村氏。

Googleが持つ10の社是のひとつである「スーツで無くても真剣に仕事はできる」を例に挙げ、ダイバーシティとインクルージョン(企業内のすべての従業員に仕事に参画する機会があり、それぞれの経験や能力、考え方が認められ、活かされる)の重要性を語った。

本公演の中で、Googleはイノベーションの自転車操業と言う岩村氏は、「イノベーションは1人の天才から生まれるものではなく、多様な人材で構成される」
と働き方においてもダイバーシティの重要性を説く。

イノベーションは1人の天才から生まれるものではなく、多様な人材で構成される

組織として重要なミッションを持ち、オープンで風通しの良い環境でメンバーが自律的に動ける会社の風土を作り、それが多様な人材の個性を活かしてイノベーションを持続的に産み出せる土壌を作り出しているGoogleの社内文化は、これからの労働スタイルを追求するうえで大いに頷ける点ばかりであった。

そして現在Googleはwomenwillプロジェクトと題し、未来の働き方推進ガイドというコンテンツを一般の企業が利用できるように用意していることに触れ、働き方改革に対してどのように取り組めばいいのか、ファーストステップを示している。

Googleが在宅勤務に挑戦した際の知見をまとめ、一般企業にも展開出来るようにまとめた資料性の高いコンテンツなので、マネジメント層ならずとも、自分がどのように働けばもっとハッピーになれるのか、考えるきっかけになるだろう。

確かに、長時間労働で多くの時間を拘束されている労働者が、ムダな労働時間から開放されて趣味や家族との時間に充てることができれば、単純に幸せの総量は増えるだろう。

そして、会社に拘束されている時間が減少することで副業を始めるということだって出来るはずだ。

副業で得た知見を本業にフィードバックすることで本業の評価を上げることだってできるだろうし、副業の収入で所得も増え経済もより回る、なんてことも働き方改革を行った未来ではあり得る未来の一つなのだ。

長谷部健渋谷区長と東京大学まちづくり研究室小泉秀樹教授、モデレーターBusiness Insider Japan 統括編集長 浜田敬子氏によるテーマセッション 『渋谷未来デザイン構想』

そして渋谷のこれからについて、区長を交えたセッション。

これからのまち作りのために行政側ができることは何なのか、企業ができることは何なのか。それぞれのセクターだけではできないことを解決する————。

長谷部区長が語る、「行政がイノベーションを起こすのではなく、行政がイノベーションの後押しをする」という考え方は、行政がイノベーションを起こすのではなく、行政がイノベーションの後押しをする

 

こういったインターネットによるオープンイノベーションの波から生まれる技術革新の波を飲み込み、「常に新たなトレンドの発信地である渋谷」が、アリーナのような渋谷を作るための場作りを行う取り組みが『渋谷未来デザイン』だ。

それぞれ違うバックグラウンドと個性を持った人たちが集まり、知恵を出す。そして企業と行政のちがいをちからに変え、課題解決から可能性の創造へと繋げていくということを真摯に考えていく取り組みとして一般社団法人『渋谷未来デザイン』が来年4月に設立される。

多くの人が集まる渋谷という街を、そこに集まる人々で共創する魅力的な取り組みがいまから楽しみである。

 

DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA。ダイバーシティというこれからの未来の指針に触れる機会は明日15日まで。

2020年のオリンピックに備え、一足先に多様性の海に飛び込んでみるのはどうだろうか。

 

 

記: 宮本夏樹(みやもと・なつき)
静岡育ち、東京在住のプランナー1980年生まれ。電子書籍関連サービスのプロデュースや、オンラインメディアのプランニングとマネタイズで生計を立てるサラリーマン。マンガ好きが昂じ壁一面の本棚を作るものの、日々増え続けるコミックスによる収納限界の訪れは間近に迫っている。

Share (facebook)