渋谷新聞は東京・渋谷の粋な情報を発信するWEBマガジンです。

コミュコレ!~Community Collection SHIBUYA 2017~レポート

記:清水徹也

1705_ohara-52

音楽、お笑い、商品プロモーションなど、ジャンルに囚われず前衛的なトークイベントを仕掛け続けるイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」 と日本最大級のグループ・イベントアプリを運営する「Peatix」 がタッグを組んだ、「コミュコレ!~Community Collection SHIBUYA 2017~」が渋谷Cocotiにて6月17日(土)に開催された。

そもそも、コミュコレ!とは“コミュニティソムリエ”が議題毎に招待したコミュニティのキーマン達をゲストとして招いたトークイベント。この夜も総勢25名の豪華な顔ぶれが一堂に会した。

記者は今までに複数の地域コミュニティに携わらせてもらい、現在では地域活性化を題材とした授業や部活など、高校を対象にして運営している、いわゆる地域コミュニティの面白さに魅せられた一人だ。少し日にちが経ってしまったが、今でも印象に深かったこのイベントの9つのトークセッションの内、私が特に気になったいくつかのセッションの内容と感想をご紹介する。

.

1705_ohara-52
「渋谷×コミュニティ」というテーマでは、澤田伸さん(渋谷区副区長)、吉澤裕樹さん(東急電鉄)、金山淳吾さん(渋谷区観光協会)が登壇。

渋谷におけるコミュ二ティについて話し合う中で、

渋谷区観光協会理事長の金山さんは「渋谷には面白いものがあると国内だけでなく、国外でも思ってもらえるようなソフトを作っていきたい。渋谷はロンドン、パリ、NYのような文化コンテンツを持っていない。ロンドンのハイドパークでは歴史的なライブが行われていたりするのに、代々木公園で何か凄いことをやる人もなかなかいない。でも、いつかは出来ると思う。その“いつか”を作るためには多様なアプローチが必要で。何かやるぞってコミュニティがあって、ビルや公園のような空間があって、明治神宮のような歴史もあるからこそダイバーシティが生まれて、その多様性がみんなの気持ちが自由に活発に育っていき、その結果がカルチャーを生むんじゃないかなと考えています。」と渋谷文化の発展にはダイバーシティを生むためのコミュニティが必要であると説いた。

近頃は地域活性化の文脈が注目されていて、書店にも地域コミュニティ関連の書物が並んでいる。しかし、有名な実例や高尚な学説をどれだけ学んでも、そのまま真似することは難しい。当たり前だが、置かれている状況やコミュニティを構成するメンバーが同じではないからだ。

汎用性がないなんて、非効率だと思われるかもしれない。だが、記者が感じる地域コミュニティの面白さの1つは、集まったメンバーによって、全く異なったアイデアが生み出せることだと考えている。
また、話題作りの上手い地域コミュニティには、多種多様な背景を持つ人々が集まって構成されていることが多い。そして、多くの場合、アイデアを実現するタフさを持つキーマンと、場を提供することで支持する実力者がいる。たくさんの人が集まって、多様性を認め合いながら議論を進めることがコミュニティにとっては重要だ。

.

1705_ohara-52
「仕事×コミュニティ」というテーマでは、横石崇さん(TOKYO WORK DESIGN WEEK/&Co.)、森恵さん(Makuake)と、続けて吉澤裕樹さん(東急電鉄)が登壇した。

2011年3月11日、大地震が東日本を襲った。それ以来、今までの生活の過ごし方に疑問を持つ人が増加したという。
そこで、まずは働き方を考え直すことから始めようと「TOKYO WORK DESIGN WEEK」を開催した横石さんは、多様性から生まれる新しい働き方について「街の多様性は働き方に繋がってくる。渋谷を働き方の聖地にしていければと考えています。“事を仕掛ける”と書いて“仕事”であるように、渋谷で仕事をする面白い人を増やしていきたいです!」と今後の展望を語っていた。

全てのコミュニティには目的があって、コミュニティに所属する人には、その目的に対してアプローチしようと思った何かしらのきっかけがあったはずだ。それは、東日本大震災のような大きな出来事かもしれないし、趣味など個人的で小さな出来事かもしれないが、きっかけの大小に優劣はない。
個人的な思いとしては、きっかけに出会ったら、素直に向き合って欲しい。最近、自分の想いを主張することで『意識が高い』と周囲に揶揄されることを恐れて、きっかけから目を逸らそうとする人が多いように感じる。
記者も久しぶりに会った同級生に自分の活動を話して、『意識が高い』と笑われた経験がある。しかし、笑われたデメリットよりも、コミュニティで活動して得られたメリットのほうが明らかに大きい。もしも読者の中に、恥ずかしさが理由で踏み出せずにいる人がいるなら、興味のあるコミュニティに積極的に参加して欲しいと思う。

.

1705_ohara-52
「未来につなげる×コミュニティ」というテーマでは、山中”Funky”直子さん(CAMPFIRE)、植原正太郎さん(greenz.jp)、加生健太朗さん(フューチャーセッションズ)、木村さとるさん(東急エージェンシー)が登壇。

このテーマは「渋谷をつなげる30人」プロジェクトの話を中心に展開された。「渋谷をつなげる30人」プロジェクトとは、渋谷区に関係する企業・行政・NPO・市民などのセクターから30名が参加し、様々な課題を、渋谷ならではのクリエイティブなアイデアで解決していくことを目的とした仕組み。約半年かけて企画立案を行い、6つもの企画が誕生した。

「渋谷をつなげる30人」プロジェクトの主催である加生さんは人を繋げるコツとして「当プロジェクトの着想は、渋谷の街に同期生を作るという発想でした。大学の同期生のように信頼感があって、何が起きても仲間だなと思える関係が一番大切。社会人になると友達が出来なかったりするけど、街に同期生が出来ることで同じような信頼感が生めるんじゃないかという壮大なチャレンジでした。」と、活動を振り返った。

記者は、コミュニティとは何かと問われると、「同じ目的を持って、共に行動をする集団。自分一人では出来ない経験、得られない知識と出会う機会を与えてくれる場所。」と答える。きっと、過去のどんなムーブメントを遡ってみても、1人だけで起こせた事例はないはずだ。後日談としてフォーカスされることはなくとも、たくさんの人達の協力が必要である。
東京は首都圏外出身者の割合が多いからこそ、大きなムーブメントを起こすためには、コミュニティという接点から地域に対しての帰属意識を持ってもらいながら、たくさんの人たちを巻き込んでいくことが大切だと思う。

.

1705_ohara-52
「渋谷メディア×コミュニティ」では、大倉曉さん(渋谷新聞)、高橋けんぢさん(恵比寿新聞)、植原正太郎さん(greenz.jp )が登壇し、地元メディアとしての在り方について話した。

我が渋谷新聞の副編集長である大倉は、地域に興味がある人とない人を繋ぐ上で、「“場”の価値はとても重要で、共通するものがあると、その前では大人も子供も国籍も関係がなく、みんなで楽しんだり、違う文化を理解しあえることができる。特に渋谷は音楽だったり、ファッションだったり、色々な土壌が豊かなので、今まさに盛り上がりを見せるタイミングにあると思う。また、LGBTだったり、自分と他人との境界線、多様性を理解しようとする時に分かりやすい人たちが沢山いる街なので、メディアが繋ぐ役割になれればいい。」と語った。

近年の若年層を中心とした消費傾向の変化やソーシャルグッドへの注目などを目の当たりにして、メディアは今後どうあるべきなのかを考えさせられる頻度が増えている。その1つの解答として、一方的に情報を発信する場所から、メディアが情報を通じて人と人を繋げるコミュニティに変化していく必要性を感じている。
その中でも、我々のようなローカルメディアは、特に渋谷で暮らす人たちに注目しながら、流行りだけに流されない、ニュースを紹介していくべきだと改めて思う機会になった。

.

1705_ohara-52
「プロモソン×コミュニティ」というテーマでは、花輪 裕久さん(NHK)、角野賢一さん(伊藤園)、タムラ カイさん(FC POP)が登壇した。

「ハッカソン(Hackathon)」とは、ハック(Hack)とマラソン(Marathon)を掛け合わせた造語だ。テーマに対し、参加者の技術やアイデアを持ち寄って、短期間で集中して議論を行い、成果を競うイベントを指す。今では地域づくりや商品・サービス開発などでも開催される。日本でも少しずつ浸透し始めてはいるものの、企画を考えるだけで終わってしまうことが課題となっている。

このセッションではプロモーションとハッカソンを掛け合わせたプロモソンという観点で、コミュニティから生まれたアイデアの実現に向けて、地元企業はどのようなプロモーションが出来るかについて話し合われた。

現代版茶会をイメージした、ゆったりとお茶を飲みながらハッカソンを行う場所を提供する「茶ッカソン」の発起人である伊藤園の角野さんは「あくまで企業宣伝ではなく、お茶をコミュニケーションのきっかけとして使ってもらいたい。場の創出に繋がれば良い。」と、歴史のある日本企業としては驚くほど斬新な地元企業としての在り方を語った。

また、ディレクター×ハッカソン「ディレクソン」という一般視聴者を巻き込んだ番組制作企画を実施しているNHKの花輪さんは「ずっとディレクターだけをやってきた人間では発想が限られてきてしまい、自分たちの思い入れだけでコンテンツを作ってしまうことが多々ある。だからこそ、発想を180°変える仕組みが必要で、そのきっかけが実際に一般視聴者に番組を企画してもらうというイベントでした。」と、さらに当活動を日本全53局にて展開していきたいと、熱のこもったトークを繰り広げた。

企業と生活者との関係に変化が出てきていて、TVCMのようなマス広告が情報を一方的に伝えるのではなく、企業が生活者と一緒に価値のある情報を作っていく試みが少しずつ増えている。
しかし、今まで全く縁のなかった企業と生活者が唐突に繋がることは難しい。そこで、両者を繋げる切り口のひとつとして地元や地域という共通点が注目されている。企業と生活者がコミュニティを共創し、互いの理解を深め合い、相互的に情報を交換することで、思いもつかないようなアイデアが生まれはじめている。それが様々な地方にも広まっていった時に、どんなニュースが生まれるのかが今から楽しみだ。

.

1705_ohara-52
渋谷区観光協会の金山さん

最後のセッションには、澤田伸さん(渋谷区副区長)、吉澤裕樹さん(東急電鉄)、金山淳吾さん(渋谷区観光協会)が再度登壇し、今夜の会を総評した。

金山さんは「僕たちはコマンド&コントロールの時代を生きてきました。命令が下りてきて、それをこなすと、なんとなく給料がもらえて。でも、今は時代の変換期で、それじゃつまらない、自分にはこんな特異性があるのに活かせてないって思っている人たちがいて。その人たちがパッション&コミュニティという生き方で、情熱の下に集まっているのを強く感じました。だけど、これは言っているだけではただの馴れ合いになってしまうので、実験して欲しいし、ダメならまた進化させて、次のエコシステムを作って欲しい。またそれは渋谷の地だけに限った事じゃなくて、この地で生まれたアイデアで地方創生するとか、世界を変えるとかがあれば面白い。そんな原点の街になれたらいいなと思う。」と、この会を締めくくった。

渋谷の街で活動する人たちの話を聞いて、この街が恵まれているということを再認識した。誰にでも開かれた多数の空間が存在し、若い世代の人々が放っておいても流れ込んできて、毎日何かしらのアクションが起きている。地方からしたら贅沢に感じるだろう。でも、これらを全てハンドリングすることなどできはしない。

渋谷新聞はローカルメディアとして、その背景に存在するドラマやストーリーを、息づかいが聞こえるくらいリアルに伝えていくことで人の気持ちを動かしていきたい。読者が思わず取材対象者に会いに行きたくなるような記事を書くことで、リアルでの良縁を繋いでいきたい、そんな熱に当てられた一夜になった。

.

コミュコレ!~Community Collection SHIBUYA 2017
http://tcc.nifty.com/event/next/21109
http://commucolle01.peatix.com/

「コミュコレ!~Community Collection SHIBUYA 2017 」に来たよ! イベントレポート
http://tcc.nifty.com/report/21340

キーワードは「エンタメ」・「ダイバーシティ」!渋谷の土台の作り手が語る、これからの渋谷とコミュニティの関係性 / コミュコレ渋谷2017
http://blog.peatix.com/peatixevent/evangelistreport/communitycollectionshibuya2017_1.html

.

記者: 清水 徹也
現在、PR会社に勤務。地域教育推進ネットワーク東京都協議会公認団体「たら×れば」を主催。
東京都の大学と高校で産学連携や地域活性化を題材とした授業や部活を企画運営する。

Share (facebook)